top of page
検索
  • T.S

河川法改正前夜


改めて,平成9年(1997年)の「河川法改正前夜」について勉強中. 河川市民団体の変遷を整理する上でも,河川法改正の社会背景は欠かせない部分.

広く知られているとおり,平成9年(1997年)の河川法改正により,従来の法目的の「治水」,「利水」に加え,「環境」が追加された.

どのような社会背景が後押しし,平成9年に改正することになったのか,紆余曲折を当時の河川局長達が語っているので,秘話を熟読中.

------------------------------------------------------------------------------- ◆環境が法目的化される以前から,多摩川が河川環境行政をリードしてきた実績があったこと(1975年京浜河川工事事務所に河川環境課設置) ◆本来「河川の環境」でもって語るべき内容を「治水」でしか説明できないジレンマ ◆当初(1980年代)から「河川環境」を河川法の目的として世に出したいという思いは強かった(1981年河川審議会答申「河川環境管理のあり方」) ◆長良川河口堰の運用をめぐり,「開発」か「環境」か盛んに議論されたこと ◆平成2年(1991年)の「多自然型川づくり」の通達 ◆河川関係者の熱い想い(故関正和氏の遺書「大地の川」,「天空の川」(1995年) ◆罰則規定を考えていなかった河川法に対し,内閣法制局との激論があったこと(単なる精神の宣言や努力義務の法律はつくるな) ◆形骸化しない住民参加の川づくり(「河川整備基本方針」に河川審議会,「河川整備計画」に住民の公聴会を設けた住民参加) -------------------------------------------------------------------------------

などなど,行政文書では残っていないような当時からの河川哲学を経験者の手記を読むと当時のことがよく理解でき,今の状況を作り出したのがいかに大変だったかがよくわかる.

河川法改正から来年6月で20年を迎える.途中,河川法は部分改正をしつつも,平成9年の改正は今の川づくりに活かされていることがはっきりと分かる.

個人的に河川管理者の河川哲学の変遷,かなり勉強になった. (多摩川や遠賀川が当時の河川環境行政としてかなり先進的な事例であったことも改めて納得)

ぜひ来年,当時の歴代河川局長や現場関係者のお話しを聴けるようなシンポジウムやってほしい.

------------------------------------------------------------------------------- 【参考文献】 1.「RIVER FRONT」Vol.59(2007年5月発行)特集:河川法改正10周年 http://www.rfc.or.jp/pdf/vol_59/mokuji.html

2.「RIVER FRONT」Vol.56(2006年5月発行) 特集:河川水辺の国勢調査の改訂について http://www.rfc.or.jp/pdf/vol_56/mokuji.html


閲覧数:99回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page