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水防災意識社会の構築へ向けて


2月18日(木)~2月21日(日)にかけて,福岡・熊本へ出張してきました.

2月19日(金)の第2回九州水防災ワークショップ(於:福岡県直方市 遠賀川水辺館)と第9回白川水防災プロジェクト(於:熊本市 東海大学)でお話しを頼まれたので,行ってきました.

内容としては2015年の鬼怒川水害に関する調査・分析の報告を行いました.

<前泊入り>

翌日の九州水防災WSに備えて,深夜便で北九州入り.

夜の滑走路に黒い翼がかっこいい!

この日は北九州市内の実家に泊まり,寝るだけの里帰りとなりました.

<2月19日(金) 第2回九州水防災ワークショップ>

半年ぶりの遠賀川.

我がふるさとの川.もう菜の花が咲き始めていました.

河川敷にはヤギ.奥のほうでは勘六橋の架け替えが行われているようです.

この日,遠賀川水辺館には九州各所からNPO,行政などの河川関係者が集まりました.

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<プログラム>

1.開会挨拶,趣旨説明:ネットワーク九州流域連携会議 代表世話人 駄田井 正

2.来賓あいさつ(水防災キャンペーンの話を含む) 九州地方整備局 河川調査官 宮本 健也 氏

3.基調講演「洪水災害等の特性と危険回避方法」 

                NPO法人広域防災水難救助捜索支援機構 理事長 藤原 尚雄 氏

4.報告①「2015年鬼怒川氾濫に関する被災地初動応答の報告~水防・避難・救助・復旧を事例に~

                     筑波大学大学院システム情報工学研究科博士後期課程 坂本 貴啓 氏

5.報告②「直方市新町地区の枚ハザードマップづくりを通して」

                         ①新町第二自治区 区長 森 定行 氏

                         ②NPO法人直方川づくりの会 梶原 剛二 氏

                         ③直方市総合政策部市民協働課 田原 将通 氏

                         ④遠賀川河川事務所防災情報課 江藤 孝倫 氏

6.休憩

7.グループワーク

     テーマ(5つほど)

     アドバイザー:坂本 榮治 氏、平野 憲司 氏、服部 二朗 氏、上野 豊 氏、田中 清也 氏

     コーディネーター:金子 好雄

8.とりまとめ

9.終了,閉会

10.交流会(会費制)

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私は2015年9月に発生した鬼怒川水害について発表しました.

発災前後にあらゆる主体の人々が災害に対し,どんな行動を起こしたか,それを「被災地初動応答」と定義し,水防,避難,救助,復旧について調べたことを中心にご報告しました.

その際に私が最後にメッセージとして述べたのは以下のとおりです.

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初動にどう行動するかが重要(水害発生前後3日間)

【河川管理者】

⇒河川管理者からの自治体への河川情報伝達体制

【市町村】

⇒自治体から予防報の発令は効果的な手段であったか?漏れはないか?

【住民・自治組織】

⇒地域の水防活動の備えは十分か?

⇒避難する(水平避難)か,留まるか(垂直避難)の判断

⇒救助や避難に舟が有効

⇒復旧活動を手助けし合える仕組みはあるか?

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その後,ワークショップ形式で,避難行動について(もし,夜中に雨が振出し,周囲に水がたまり始めたらあなたはどうする?)という内容が議論されました.

直方市では,3年ほど前から直方川づくり交流会,遠賀川河川事務所,直方市とともに,住民によるハザードマップ作りが進められており,自主防災意欲が高まってきているように感じました.

水辺館に来ると必ず目に入るのがこの,文章.

川は洪水対策や水の利用だけでなく人々が集い賑う場であってほしい

川で絵を描き詩を詠い音楽を奏で自然を学びお祭りをして

さまざまなボランティア活動の場としたい

文化の香りがする遠賀川流域でありたい

ー謎のおじさん語るー

(謎のおじさんとは,昔,河川局長をされた●●さんだという噂を聞いたことがあります)

その後,九州の川仲間とともに交流会が開催され,盛大に盛り上がりました.官民学の関係者が九州中から集まり,「お前のところの川は最近元気か?」と語り合える関係性が常日頃からある九州は防災においても連携が強く,これから築いていく「水防災意識社会」においても実現していけるだろうと思います.

北九州の実家に泊まり,翌日,今日も水防災関連の行事.

熊本・白川の関係者に連れられ,熊本へ.

第9回白川水防災プロジェクトにご招待いただき,お話しをしてきました.

白川水防災プロジェクトは近年増加する風水害に対する備えとして,風水害.水難事故に対する危機管理意識の啓発被害軽減を目的として,災害現場で救助活動に携わる防災関係者や河川活動団体,河川管理者を交えて防災・減災のあり方について考え活動する行事です.

最初に僕が呼んでいただいたのが第1回だったので,もう9年も経ったと思うと,自身も年をとったことを実感するとともに,活動の成熟を感じました.

熊本市街地の白川氾濫に対する脆弱性と最近の雨の降り方の変化が紹介され,熊本の防災対策もハードの限界を理解し,それぞれが非常時に行動できる備えをしてほしいと河川管理者の方からも発表がありました.

ここでも真剣に水防災意識社会の構築に取り組まれている熱意を感じました.

私が最近の防災で気になっているのは,住民の非常時の行動もですが,河川の維持管理に関すること.

河川工学の第一人者,高橋裕先生がこんなことを話されていたことがあります.

「昔の工事事務所の所長はね,川に毎日出かけては自分がつくった堤防の上に寝転び,昼寝する時間があったんです.それが今はどうでしょう.マスコミ対応,住民対応などで,本来川を一番見ていないといけない河川管理者から川を見る時間を奪ってしまいました.河川管理者にこそ,毎日川を見る時間を持ってもらいたい.川を毎日見ていないとわずかな変化の「河相」は読み取れません」

人口減少社会に突入し,管理費(人員)が削られる中で,河川管理者が川に行ける時間はますます減ることが予想されます.

現在,維持管理で重要な堤防点検は河川管理者が自ら1cmも見逃さず歩いて点検している河川事務所もあるが,それが実施できていない事務所もあるのが現実.

最近では市民と一緒に堤防点検を行い,川を多くの目で点検する機会を増やそうとする取り組みも進められている.

維持管理は新たにインフラを創り出すわけでもなく,非常に地道な業務ですが,最も重要な業務とさえも思います.

日頃の備えとして,川の異常に気づく眼を河川管理者,住民とも鋭く持っていてほしいと切に思いました..

翌日,河川活動団体の人にSUP,カヌーに乗せてもらう予定だったけれども,体調不良になり,いくことができず.ただどうしても白川を見て帰りたかったので,具合が悪いながら,白川まで.

町と一体となった熊本市街付近の白川を目に焼き付け,帰ってきました.

<後日談>

翌日から高熱が出て,10年ぶりにインフルエンザに.九州で大流行中だったようでもらったようです.熱にうだされ何もすることが無い中,病の床から天井を眺め,白川・遠賀川の訪問を思い出し,想いに馳せたのでした.


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