なぜか夢で中禅寺湖をみました.
音の無い静の世界,中禅寺湖のゆらめく水面が自身の夢を支配していく...
長い夢から覚めると休日の良く晴れた朝.
中禅寺湖の御声が聞こえたからというとなんだかかっこいいですが,
こんな日に,一日家や研究室にいると腐ってしまいそうだったので,思い立ったが吉日,中禅寺湖に出かけてみることにしました.
つくばからひたすら北上し,日光方面へ.
数年前に夏に中禅寺湖を訪れた時は男体山の緑と中禅寺湖の透き通る水の美しさに感動したこともあり,中禅寺湖への憧れは日光に近づくとともに増していきました.
ここでちょっとだけ中禅寺湖について説明.
----------------------------------------------------------------------
<水文的特性>村岡ら,1983[1]より一部引用
中禅寺湖は男体山の麓,標高1268mに位置し,東西6.54Km,南北1.85Km,湖表面積12.1Km2,平均水深94.7m,総貯水量11.4 億m3の 堰止湖である。主要な流入河川は,湯川,地獄川,外山沢川,柳沢川の4河 川で,平均流入量は5.6m3/sec,降水量も含めると平均滞留時間は約6.5年である。 他方流出河川は大谷川だけで,流出量は1.4m3/secと総流 出量の25%を占めるにすぎず,地下水流出が約70%と大きい。
----------------------------------------------------------------------
補足すると,欧米大使館の別荘が湖畔に並び,避暑地としても有名な高原湖です.日光は秋の紅葉シーズンが大変有名ですが,山深い日光いろは坂は一面雪化粧です.
中禅寺湖に到着.
行楽シーズンと違い,店も開いてなく,閑散としています.
しかし,この静けさがいい.
男体山の崩れの谷筋と麓に残る雪と,湖面のにぶい青さが一層中禅寺湖の冬を演出しています.ため息が出るほどの美しさ.日常の雑念・葛藤が全てどうでもよく感じられました.俗世間的な日常との対比で美しさがより際だってみえたかもしれません.
鼻から白い息出ていくことすらも至福に感じながら,しばし湖を眺めていました.
<冬の中禅寺湖>
<中禅寺湖と自身>
どれくらいの時間が経ったことか,気が付けば湖の西側の山に夕日が落ちるところでした.
日没直前の湖面の輝きが一層美しく,二度の感動を体験できた贅沢な時間でした.柱に顔をうずめ,湖面に耳を澄ますと,かすかに風の音がします.耳元には温かい陽光が照り,冷気の中でも,たしかな熱を感じとれました.
<中禅寺湖畔の山に日が沈む>
付近にある日光二荒山神社で参拝し,この美麗な水風景に出会えたことへの感謝と,これからの自身の進む道に対しお見守りいただくようお願いしてきました.
<日光二荒山神社中宮祠>
おみくじをひいての「天のみこえ」は
『かりそめの事に心をうごかすな家の柱とたてらるる身は』
これがお告げの答えでしょうか?
よく意味が分からない部分もありますが,色々と思い当たる節もあり,御声を胸に納め,中禅寺湖を跡にしました.
最後に中禅寺湖から流れ出る大谷川(だいやがわ)の砂防堰堤群を見て帰ってきました.雪に埋もれる大谷川と砂防堰堤群はいつもの日光砂防の迫力とはまた違い,構造物が完全に隠れていてこれはこれで味わい深い風景でした.
<雪に埋もれた大谷川と砂防堰堤群>
年明けからやってきた論文投稿が一息し,心身ともに疲弊していましたが,張り詰めた自身の心によい栄養になりました.
また2月,3月も気持ちを心機一転,研究活動を頑張っていけそうです.美しき冬の中禅寺湖に感謝.
<参考文献>
[1]村岡浩爾, 平田健正,中禅寺湖の内部波,水理講演会論文集Vol.27.pp179,1983.